おたふくかぜとムンプスワクチン
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
おたふくかぜは、流行性耳下腺炎ともいわれ、ムンプスウイルスによる感染症です。
この病気は、片方ないし両方の耳下腺が急激に腫れて痛みを伴う病気です。耳下腺の腫れや痛みが軽くすむ方や、ウイルスに感染しても症状が全く出現せず病気が終わってしまう方もわずかにみられます。健康な小児では軽症で済む事も多い感染症ですが、実は怖い合併症が存在します。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の合併症
合併症で比較的頻度が高いものでは、髄膜炎があげられます。おたふくかぜの100人に5人程度の割合で発生し、耳下腺の腫脹が出現した後の急な発熱、頭痛、嘔吐は髄膜炎を疑う症状として要注意です。その他の合併症として、感音性難聴、精巣炎,卵巣炎,膵炎,腎炎および髄膜脳炎等があります。
特に、感音性難聴はあまり知られていない合併症の一つですが、おたふくかぜ発症者の約1000人に1人の頻度で起こり,過去の統計では、おたふくかぜに関連する難聴患者の数は、1年間で400-600人程度とされています。また、おたふくかぜによる難聴は、残念ながら聴力の回復が非常に困難とされていて、生涯の問題となりますので合併症として最も警戒すべきものの一つと考えられています。
ムンプスワクチンについて
ムンプスワクチンは弱毒生ワクチンで、1歳を過ぎたら接種することができます。現在はまだ任意接種ですが、前述のようなおたふくかぜによる怖い合併症を予防するためにも、是非ワクチンを接種することをお勧めしています。 欧米諸国では、ムンプスワクチンは2回の定期接種になっています。1回のみの接種では予防効果が長続きせず、成人期になってから病気にかかってしまう可能性があるため、1歳時と5-6歳頃に2回のワクチン接種をすることをお勧めしています。
ムンプスワクチンをまだ受けていない方は、この機会に見直してみませんか?ワクチン接種について、わからない点がありましたら、小児科外来でご相談ください。