芳賀赤十字病院は地域医療支援病院・地域周産期母子医療センター・災害拠点病院・DMAT指定病院・地域がん診療病院・臨床研修指定病院に指定されています。

採用情報

臨床研修医通信 2013-2014

江原 幸康医師(2013-2014年度初期臨床研修)による臨床研修医通信

  ▼ タイトル ▼ 掲載日
  Vol.29「選択期間 まとめ」 平成27年3月31日
  Vol.28「選択期間 外科(後半)」 平成27年3月26日
  Vol.27「選択期間 外科(前半)」 平成27年3月26日
  Vol.26「地域医療-真岡中央クリニック」 平成27年2月26日
  Vol.25「地域医療-真岡皮膚科クリニック」 平成27年2月19日
  Vol.24「第50回日本赤十字社医学会総会で発表」 平成26年11月27日
  Vol.23「地域保健研修-栃木県東健康福祉センター」 平成26年11月27日
  Vol.22「小児科研修(後半)」 平成26年11月4日
  Vol.21「小児科研修(前半)」 平成26年10月23日
  Vol.20「産婦人科研修」 平成26年10月1日
  Vol.19「赤十字活動-日本赤十字社栃木県支部常備救護訓練活動」 平成26年9月19日
  Vol.18「耳鼻咽喉科研修」 平成26年8月25日
  Vol.17「脳神経外科研修」 平成26年8月12日
  Vol.16「整形外科研修」 平成26年7月28日
  Vol.15「3ヶ月の救急・麻酔科研修について振り返ります」 平成26年7月9日
  Vol.14「研修医生活2年目に入って」 平成26年5月22日
  Vol.13「消化器科系研修~外科④~」[研修科:外科] 平成26年4月5日
  Vol.12「消化器科系研修~外科③~」[研修科:外科] 平成26年3月6日
  Vol.11「消化器科系研修~外科②~」[研修科:外科] 平成26年2月6日
  Vol.10「消化器科系研修~外科①~」[研修科:外科] 平成26年1月28日
  Vol.9 「新たな研修クールへ」[研修科:消化器内科] 平成25年12月9日
  Vol.8 「インフルエンザ予防接種」 平成25年11月28日
  Vol.7 「第49回日本赤十字社医学会総会」に出席 平成25年11月18日
  Vol.6  内科研修終了 平成25年11月8日
  Vol.5  へき地巡回診療 平成25年10月1日
  Vol.4  内分泌代謝分野 [研修科:第二内科] 平成25年9月 2日
  Vol.3  夏休み明けの当直 平成25年8月17日
  Vol.2  透析センターで研修中 [ 研修科:第三内科 ] 平成25年7月26日
  Vol.1  ごあいさつ 平成25年6月26日

 

 

 

臨床研修医通信Vol.29「まとめ」

研修医  江原 幸康

最後に・・・

 最後の選択に外科を選択した理由は、「解剖をより深く学びたい」、そして救急外来での外科処置時の判断、手技が今後1人だと学びにくいと考えたからです。術前カンファを自分が行なう、ということになると自分が如何に理解できてないのか、ということが丸裸状態でわかりました。

 自分で勉強し、カンファ中に指摘されたことを一つでも多く吸収しようと必死でしたが、外科の観点、治療のトータルマネジメントということがどのように行われていくのか、ということを深く考えるようになりました。まだまだ不十分ではありますが、この観点は医師としての人生では決して無くしてはいけないところだと感じています。

 解剖に関しては臓器と臓器の位置関係、血管走行を3次元的に頭に構築することが全くできていませんでした。絵を見て納得することは仮にできたとしても、白紙に自分が描いていくことは全く別の問題で、最終的には両者が求められるわけです。常にフィードバックして、正確な解剖図が描けるか、頭のなかにマッピングを行なっていく必要があります。カンファでプレゼンすることは本当に大変でしたが、自分で勉強して理解することや効果的なプレゼン方法に関してはカンファで指摘いただくことが大変貴重です。指摘されたことを一つでも多く吸収しようと必死でしたが、外科の観点、治療のトータルマネジメントということが、どのように行われていくのか、ということを 今までより深く考えるようになりました。まだまだ不十分ではありますが、この観点は医師としての人生では決して無くしてはいけないところだと実感しています。

 医師としてやることは膨大で無限にあります。また興味は増える一方です。忙殺されないよう注意はしておく必要がありますが、医師としてだけではなく自分を研磨できる、と考えています。2年間の研修で様々な種(たね)をいただいた、という想いのもと、 研修明けの4月からは、それを十分に花開かせ 自分の幹を力強く太くしていきたい、そのように感じています。

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▲臨床研修修了式にて撮影

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▲臨床研修修了式にて
右:岡田 真樹病院長
中央:江原 幸康研修医
左:村上 善昭臨床研修医管理委員長

臨床研修医通信Vol.28 「選択期間 外科(後半)」

緩和ケア

 毎週火曜16時から、緩和ケアのカンファレンスに参加させてもらいました。今問題となっている患者さんやその周辺事項について多職種(医師、臨床心理士、看護師、栄養士、薬剤師、リハビリ)で、どうすればより良い方向に進んでいくのか、話し合いを続けました。
 スタッフ側の職種の独自性から患者さん側の価値観を尊重する方向で、自分だけだったら決して知ることを得なかった情報や考え方を理解する機会になりました。

上部消化管内視鏡検査

 水曜金曜の午前は腹部エコーに続き上部消化管内視鏡検査の研修を行いました。1年次にも見学はやっていましたが、私としては操作まである程度はできるようになりたいと考えていました。見れば見るほど、今まで自分は「見学」という言葉を軽視しすぎていた、と反省せざるを得ませんでした。上級医の操作によって映しだされる画像に異常所見が出てきてくるまで待ち、初めて注意開始というスタンスでいたのが、今となっては「甘すぎた」と感じています。

▲内視鏡検査についてのようす
左:大竹 俊哉消化器科内科部長
右:江原 幸康研修医

 上部は所見を読むのが難しい、と言われていますが、内視鏡の操作自体になれていなくても所見の教科書を一読するのはだれでもできると思いますし、あとはそれをきちんと頭に叩き込むことが重要になってきます。また、すぐにカメラの操作ができないにしても、今どこを見ようとしているのか、次に見たいのはどこか、など胃の解剖を十分に理解して、カメラとの相互位置や胃の画像だけで、それがどこの部位かを把握することがとても重要です。
 さらに萎縮の程度がどの程度か、潰瘍のステージはどれくらいか、毎回自分が行なう習慣をつけることが大切です。「見学」という2文字の言葉には、当然ではありますが、ただ見ているだけではない、という以上の意味があることを嫌というほどに、痛切に反省させられました。たとえ自分がカメラ操作していなくても、施行医が得られた画像からどのような所見を記入するのか、自分だったらどのように記入するのか、その差が出てきた時にはどこに問題があるのか、などいくらでも想像して、頭を使って、具体的に疑似体験することで、研修に深みが出ます。これからの医師人生においても 貴重な機会となりました。
 カメラ操作云々は場数を踏めば少しずつ上達します。しかしそれ以前に、自分が今回学んだことで一番重要なことかもしれませんが、自信を持って施行することの大切さです。 患者さんに苦痛を与える検査とわかってはいるものの、それで自分が操作の速さをゆるめることは苦痛の時間を長引かせてしまう、という結果につながります。しっかり検査しなくてはならない、それを最短の時間で行うこと、の両方が求められます。最初から両者をできることはたとえ不可能だとしても、常に頭において、そして患者さんや他のスタッフに安心感を与えるためにも、自分の言動に明確に意味・意図を持たせ無駄なことを省かなければ なりません。研修以上の学びを得たと考えています。

▲内視鏡検査のようす
左:江原 幸康研修医 右:野本 弘章医師

 

臨床研修医通信Vol.27 「選択期間 外科(前半)」

選択期間に「外科」を選択

 2年間の研修も最後の3ヶ月、いよいよ選択期間となりました。 私はやりたいことがかなり沢山あったのですが、相談の結果、私は外科に所属して、曜日によって研修内容を変えるのが最適では、という案を頂き、研修としてはとても贅沢になりました。
 具体的には、月曜日は救急外来、火曜日午前は化学療法外来、午後は緩和ケア、水・金曜日午前は腹部エコーと上部内視鏡、午後は救急外来、木曜日は手術メイン、となりました。

救急外来

 次の4月からは自分も他の先生と同じ立ち位置で診療を行うことになる、ということを考えると、とにかく場数を踏んでは判断の機会を多くするしかありません。
 上の先生が隣にいらっしゃるのはとても力強いのですが、だからといって自分が判断をしなくていい、ということではありません。自分の中ではそのつもりはなかったのですが、今までは無意識にそういう部分があったということを否定できません。
 本当に自分1人しかいない時に自分が判断していけるのか、そしてその根拠は何か、常に迫られて行動を連続させていく必要があります。今回の救急外来研修ではそこをしつこく鍛えられたと思っております。しかも、自分がもっと勉強すべきことがどんどん見えてくるのがわかりました。悪いことが起こりそう、起こったときにどう動くべきか、そのシミュレーション、準備がとにかく大事です。

化学療法外来での研修

 「化学療法外来」 ・・・私は、「将来、がんとがん診療を扱いたい」という想いのもと、医師免許を取得しました。
 当院で働き始める前から、化学療法外来で研修させてもらえることを予め伺っておりました。当院には、自治医科大学附属病院・臨床腫瘍科の藤井教授がいらしており、藤井教授から直接指導して頂ける、という非常にありがたい環境になりました。
 化学療法で出てくる薬剤が学生時代から頭になじみにくく、最初はそれだけで大変でしたが、薬剤が出てくるごとに毎回頭を整理していきました。その薬剤ごとの副作用をきちんと把握し、患者さんにその副作用が出ていないかを医療面接で能動的に聞き出すことが重要です。
 患者さんの体調が悪くなった時に、その原因が癌の進行のためか、薬の副作用のためか、併存症のためか、などを的確に判断することが求められます。そして、「がんの告知」、化学療法による効果不足あるいは副作用のための薬剤変更、場合によっては化学療法自体を中止せざるを得なくなること、を如何に患者さんへ伝えるか、に配慮が必要であることを実感しました。
 外来で現場を見せて頂けることが自分の理解を非常に深めることになり、今後の自分が取るべき態度というのを大いに学ばせて頂きました。

▲左:自治医科大学附属病院臨床腫瘍科 藤井 博文教授
右:江原 幸康研修医

 

臨床研修医通信Vol.26 地域医療「真岡中央クリニック」

研修医 江原 幸康

 地域医療研修として真岡皮膚科クリニックで2週間(臨床研修医通信Vol.25)、真岡中央クリニックで4週間お世話になりました。

真岡中央クリニックでの研修 

 真岡中央クリニックでは、外来が半分、残り半分は往診に行って来ました。外来は風邪、脳卒中後遺症、その他common diseaseの患者さんを沢山診察させていただきました。指導医の先生と外来に一緒について、疾患に対してどのような薬を出されているのかをとにかく勉強しました。指導医の先生がどういう所に着目して身体所見をとられているのか、薬の処方についてはどのようなもので学ばれたのか、などなどいろいろと勉強させていただきました。
 普段病院にいると、急性期を乗り切って患者さんが退院すると一段落という見方をしがちです。しかし、患者さんにとっては残りの慢性期の方が時間的にも長く、そこでの医療ケアというものが必要になってきます。それを担われているのがクリニックの方々で、患者さんや地域に密接に関わられているのを目の当たりにしました。

初めての往診

 また、往診というスタイルに関しては、予想していたものとはまた違う部分も経験しました。動くことが出来ない、あるいは近くに医院がないような地域にでも患者さんはいらっしゃいます。往診がないと患者さんは生きていけないわけです。また、在宅という形で人生の最期を迎えたいとする考えもあります。
 患者さんや家族の価値観を重視し、医療としてそこに介入していくことで、困っている患者さんに対して最大限の助けになる、ということもしっかりと目に焼き付きました。「人を助ける、救う」ということの本質が見えたと感じています。立場は色々あっても、お互いが少しでも深く理解しようとすること、共感できることが、人が人を癒していける根本になるのでは、と感じました。一方、社会的な負の部分も見ることもたびたびありました。純粋な医学・医療というよりは社会と言いますか、そこも痛感しました。

クリニックで働くこと

 クリニックで働くということは地域の方々の健康を直接的に診ることを意味しますが、その責任は重く、信頼されてないとその責務を十分果たすことができません。私はクリニックで働くことの価値観を今回の研修でとてもやりがいがあるものと考えるようになりました。今回学んだことを今後の医師人生にもきちんと活かしていき、少しでも皆さんに還元できるよう、精進していきたい、と思うようになりました。

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▲真岡中央クリニックで撮影
左から、江原幸康研修医、真岡中央クリニック・宋 鐘權医師、当院・村上善昭第一内科部長、真岡中央クリニック・小川 松夫院長

臨床研修医通信Vol.25「地域医療-真岡皮膚科クリニック」

研修医 江原 幸康

 地域医療研修として真岡皮膚科クリニックで2週間、真岡中央クリニックで4週間お世話になりました。

真岡皮膚科クリニックでの研修

 真岡皮膚科クリニックでは主に外来、週に1度は手術があり、一緒に入らせていただきました。皮膚科ではステロイドの強度や種類がわかってないといけないと考え、strongest、very strong、strong、mildの代表的なものを事前に覚えてから外来見学に臨みました。

皮膚科疾患への対応

 クリニックでは患者さんが次から次にいらっしゃるので、その皮膚所見を診てはすぐさま診断、可能なものはsnap diagnosisで、その診断にあう薬を処方、場合によっては液体窒素での処置やデブリなど、本当にいろいろと見させていただきました。処方薬の内容についていけないと意味がないので、処方薬をチラッと見ては診察の合間にメモをとって忘れないようにし、昼休み等を使って、徹底的に薬の内容を調べるようにしました。その甲斐あってか、数日で薬の処方パターンをある程度理解できるようになりました。もちろんその前に診断がきちんとできないといけないですから、私としては「これは皮脂欠乏性湿疹かなあ」「これは脂漏性角化症だろう」など想像しながら、先生のカルテで答え合わせをしていました。

さまざまな症例を経験

 数をこなせたおかげか、2週目は大体目が養われ、診断は先生のものと一致することが増えました。また、研修到達目標の中に「寄生虫疾患」があるのです。通常の場合、このような症例を経験する機会は極めて少ないと思います。 しかし、今回の研修中では疥癬に毛ジラミと、短期間で 2症例も経験することになり、大変貴重な研修となりました。また、1日中、指導医の先生の横について学ばせて頂き、大変有意義な2週間を過ごすことができました。

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▲真岡皮膚科クリニックでの研修のようす
左:真岡皮膚科クリニック 沖田 博院長
右:江原 幸康研修医

臨床研修医通信Vol.24 「第50回日本赤十字社医学会総会で発表」

研修医 江原 幸康

 平成26年10月16日(木)17日(金)に熊本県で開催された「第50回日本赤十字社医学会総会」に出席し、「肺塞栓症で発症した急性HIV 感染症の1 例」を発表しました。

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▲会場前にて撮影
(左:江原幸康研修医 右:村上善昭第一内科部長)

 

臨床研修医通信Vol.23 「地域保健研修 ―栃木県東健康福祉センター 」

研修医 江原 幸康

 地域保健研修として、真岡市内にある県東健康福祉センターで2週間お世話になりました。研修初日にオリエンテーションやセンター概要、各部門の業務、地域保険概要の説明が丸一日かけて行われました。

 その後の研修中は、保健所に滞在していることはほとんどなく、毎日外部に出かけ、行政としてどのようなことが行われているのかを実際にこの目で見る・体験することがメインでした。就労支援部会、結核部会、保健環境センター、乳幼児二次健診、精神受理会議、介護予防教室、ケア会議、検診結果説明会、感染症予防機動班など、様々な事業に具体的に出席することで、保健所の幅広い業務について知見を広げることができました。

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▲「足腰の痛みとさようなら☆運動教室☆」
地域の皆さんと一緒に活動し、よい経験に。
(左端:江原幸康研修医)

 患者さんが病院を出て、普段の生活をきちんと行えることが非常に重要であって、その支援が様々な形で、いろんな方からのアイデアで成り立っているのだ、と理解できました。病院の中にいるだけでは決して理解できるものではなく、大変貴重な2週間となりました。

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▲研修最終日の発表の様子(県東健康福祉センター)

 

臨床研修医通信Vol.22「小児科研修(後半)」

研修医 江原 幸康

新生児診察

 採血が終わったら産婦人科病棟で、新生児の入院時診察・退院時診察をします。新生児にとっては生まれて初めての診察になりますが、それを自分が行なう、となると感動と責任の両者を感じないではいられませんでした。
 まず心音、呼吸音を聴き、大泉門、鎖骨、腹部、神経学的所見、背部、口腔内、おむつを外して大腿動脈、肛門など、ルーチン化して体をまんべんなく診察します。指導医の診察がとてもスムーズなのを見ると、自分も出来るだけ真似したい、という気持ちが出、診察を心地よくできるようになってきた、と思っています。

外来・入院と、さまざまな業務をこなす!

 その後病棟業務をこなし、落ち着いたら外来へ移動し上級医と一緒に診察します。外来では、気管支喘息や川崎病、発熱症状の患者さんなど、commonな疾患をかなり濃密に診察させて頂くことができます。途中に採血や点滴の方がいたら技術を上げるために率先して取り組みました。さらに、入院する患者さんがいれば病棟に戻り、カルテで指示をだし、指導医に内容をチェックしてもらう、そんな形で午前中はあっという間に終わります。

 午後は外来もしくは、救急当番の先生についてファーストをやらせて頂くことが多かったです。前者に関しては乳児健診やワクチン接種日は診察や注射を自分が行なうことになります。後者に関しては特に熱性痙攣のときは重積状態になっていないのかの判断を行なうのがかなり大変で、上級医・指導医がいらっしゃるとは言え、終わったら疲労が溜まることが多かったです。しかし、正直この大変という感覚を持てたことは非常に重要だと考えています。研修医から見ると上級医が判断を簡単にやっているように見えても、実はそうとは限らず、常に患者さんを観察、診察しては本当に大丈夫かどうかを判断しようとしているのです。その雰囲気を感じるだけでも非常に勉強になります。初期研修医でなくなる来年度以降の当直では、自分がそれを判断しなくてはならなく、判断の難しさ、慎重さを今のうちから自分でやらなければならないというシミュレーションとしては何度経験しても学ぶところがあると思います。

小児科ならでは、の出産立会い

 突発的に入ることとしては救急外来以外には小児科立ち会いのお産があります。帝王切開から患者さんにnCPRをおこなったり臍帯血採血を行なったりして、準備でき次第NICUへ移動になります。NICUでは頭部エコーや心エコーを行ないますが、前者は小児科をまわらない限り行なえることはなく、後者に関しては大人よりも圧倒的に行ないやすいです。上級医が何に着目しているのかを可能な限りついていこうとして研修していきました。自分の研修中に最も印象的なできごとは、常位胎盤早期剥離の緊急帝王切開手術が入ったときのことです。小児科の先生方が全員手術室に入られ、蘇生に徹される先生、外回りで必要な業務を手際よく行なわれる先生、NICUへ移動後も処置に徹する先生、オーダーに徹する先生、書類の準備をする先生、と各役割分担をとにかく迅速に適切にこなされていて、患者さんの安全を最大にという熱意がこれでもか、というくらいに伝わってきました。自分も何か一つでも仕事をこなさなくては、と仕事を見つけては院内を走り回っていました。早期剥離の時は研修医も走るくらいに超緊急事態ということを学生時代に聞いたことがありましたが、今回のことはとても貴重な経験になりました。

小児科研修を終えて・・・

 小児科研修をしていて一番やりがいがあるなあ、と感じたことは、小児科は総合診療を実施している、という件です。体重別に薬の分量が変わるなど特殊に見えることがある反面、一人の患者さんをいろんな角度から診て、それも臓器に限定されることなく、例えばどの医師も心エコーは行なえるし、どの医師も感染症に詳しい、など大人の内科では実践が難しいことを当たり前に実施できている点がとても魅力的に感じました。小児科は確かにこどもを対象としているが、その評価の仕方に関しては大人と違いはあるものの、やっていることは総合診療的であり、医師としての基礎力を底上げするにはとてもいい研修になりました。

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 小児科研修なしに初期研修を終わるプログラムが圧倒的多数だと思いますが、研修として経験できないことは非常にもったいない、と私は感じます。こどもの診かたというのを学べた研修ができたことに対して感謝の念でいっぱいです。

臨床研修医通信Vol.21「小児科研修(前半)」

研修医 江原 幸康

NICU・GCU

6週間の小児科研修が終わりました。
 部長回診が月曜と金曜の朝8時から、抄読会が木曜朝8時15分からです。それ以外の日は、病棟で患者さんのカルテを一通り確認し、指導医もしくは一人で回診に行きます。一般病室にまず行くのではなく、NICU, GCUへ先に行きます。これには理由があります。小児科病棟は、肺炎や気管支炎、胃腸炎 の患者さんが圧倒的多数と、ある意味「感染症病棟」です。一方NICU, GCUには免疫的に未熟な患者さんばかりで、病原体に脆弱な方ばかりです。手洗い、ガウンで感染対策には十分注意を払うとしても、朝の清潔なうちに優先的にまわる方が理にかなっているわけです。また、NICU,GCUで心音、呼吸音以外で独特だったのはミルクの飲み、体重の増え方、呼吸状態などを診てみることです。採血に関しては見学では簡単そうに見えますが、実際にやってみると非常に難しく、更には大人のミニチュア版とは決して考えることのできない生理上の制約があり、検体の1滴も決して無駄にはできません。

こどもたちの診察、そして採血

 NICU, GCUの回診を終えると一般病棟回診です。こどもは、コミュニケーションの取り方が大人とはかなり異なってきますが、病状がいいのか悪いのかは機嫌にも現れ、ある意味大人よりも正直な部分があります。言葉で的確に表現できない訴えを医療者側が積極的に拾い上げていかなければならない難しさがありますが、回復も早いのでやりがいも非常に出てきます。
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 カルテ書きをやっている最中に朝9時を迎え、病棟当番の先生と一緒にこどもの採血が始まります。実はこどもの採血は初めてで、最初のうちはかなり緊張しました。数をこなすことも大事なのですが、解剖学的にスケールが小さいこと、「泣いて、騒ぐ」を理由に採血ができないは、小児科では言い訳でしかないこと、検体量が大人と比べて圧倒的に少なくせざるを得ないことなどを考えると、たかだか採血と言われるものでも、今までよりも自分のスキルを上げて、慎重に手技を行なわざるを得ませんでした。しかし、それが今までの自分のスキルを見直すことにもつながり、実際自分がどれほどできそうか、というのを頭の中で数値化出来るようになったらかなり自信が持って実践できるようになってきました。
(後半につづく)

臨床研修医通信Vol.20「産婦人科研修」

研修医 江原 幸康

4週間の産婦人科研修について振り返ります。

看護サイドと密に情報交換

 常勤が4名と、マンパワー的には市中病院としては恵まれている方ではないでしょうか。朝は8時半から病棟カンファレンスが毎日行なわれます。医師側と看護師側で一人一人の患者さんについて情報交換を行なうところが他科にはなく非常に斬新なところで、かつ重要なことだと感じずにはいられませんでした。

産婦人科ならではのスケジュール

  病棟当番の先生と一緒に処置が一通り終えたあとは外来に降りると、他の3人の先生は産科外来、婦人科外来、初診外来を担当されています。経腹エコー、経膣エコーによる診察がほぼ全例で行なわれるため、その診察についてじっくり学びます。子宮頸癌健診、子宮体癌健診をはじめ、コルポスコピー、狙い撃ち細胞診など、手際よく進めら れている上級医からは本当に目が離せませんでした。

 患者さんの数はかなり多く、それを3-4人全員の医師で外来診察を行う、というのはかなり忙しいのが現状です。病棟で“分娩開始”になると、外来を急いで抜け出し病棟で分娩につくことになります。分娩終わり次第また外来診察と、先生方は昼ご飯の余裕すらない場合も多かったように思えます。

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産婦人科“特有”なこと

 手術日には3つ以上の手術が入ることが多く、私は全手術に入らせていただきました。外科系研修の総まとめとして、今までの他科での手術で学んできたことを精一杯使うようにしていきました。さらに産婦人科特有の手術に関しては「解剖」を正確に頭に入れる予習から開始し、手術記録で内容を整理したり、糸結びも今まで以上に練習して臨みました。産婦人科では臓器が限られているだけあって、1回の手術で学ぶことが非常に多く、次の手術にはその経験を活かせていくことができました。当直時には、卵巣腫瘍捻転などの緊急手術にも積極的に入っていくことができました。

 産婦人科研修ではとてもやりがいを感じました。妊婦さんに関しては服用可能な薬が何であるか、胎児が正常な発育をしているのかなど、一般内科からするとやや特殊に感じられる知識が必要です。とはいえ、この世の半分は女性であることを考えると、特殊と考えてばかりはいられないのでは、と思うようになりました。内分泌などの内科、外科的手技、女性の医学など、広い範囲を学習できることがとても魅力的なのが産婦人科です。学生時代にはそれほど興味がなかったのですが、産婦人科がこれほど魅力的に感じられたのは、自分としてはとてもありがたい研修環境だったな、と感謝でいっぱいです。

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▲産婦人科外来でのエコー検診
左:江原幸康研修医 右:渡辺 尚第一産婦人科部長

 

 

 

臨床研修医通信Vol.19 「赤十字活動-日本赤十字社栃木県支部常備救護班訓練参加」

研修医 江原 幸康

赤十字活動への参加

 6月に泊まりがけで「日本赤十字社栃木県支部常備救護班訓練」に参加してきました。日本赤十字社は、災害発生時等には赤十字の人道的使命である災害救護活動を行います。いつ起こるかわからない災害時に迅速かつ的確な救護活動ができるよう、救護班要員の知識及び技術の均一化、高度な災害救護班活動実施に必要な訓練を行われます。

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▲救護訓練でのトリアージ

 日本赤十字社栃木県支部管内では、医師・看護師長・看護師2名・助産師・主事2名の計7名で1つの救護班が構成され、その「医師」が自分の任務になります。参加前は、能力的に研修医だと不十分で役に立たないのではないかと思いましたが、自分を試せる絶好の機会だと参加を決断しました。

 

次々に運ばれる負傷者、求められる迅速な対応

 訓練項目としては①無線通信、②救護所設営、③救護資機材運用、④トリアージ、⑤総合演習からなります。その中で最も勉強になったのは総合演習です。
 「普段の救急医療とは異なる環境で」とはいえ、救急医療のファーストコンタクトの能力が絶対的に試されます。次々に運ばれてくる負傷者に対し、まずはトリアージのPAT法、救命最低ラインの処置、状態によっては後方搬送(近くの高次医療機関に救急搬送)と迅速な対応が求められました。
 最初は負傷者の状態把握すらできず精神的には厳しい状態でしたが、回数を重ねることでコツがつかめてきました。救護班員とコミュニケーションを十分に取り、声を掛け合い役割分担することで、手際よく対応できるようになっていきました。

救護訓練に参加して

 今回の訓練はあくまでも訓練ですが、この経験は自分に災害医療時の予習として十分機能したと思います。また、普段の救急外来の診療につながるものでもあります。今後も救護班訓練が開催される予定があり、その際にも参加することを、私は迷わず決めました。

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▲H26.8.31『栃木県防災訓練』にも参加!!
右から2人目:江原 幸康研修医

 医師になって、研修が進んでいくにつれて、いつも感じるのがserendipityです。予想してないところに、予想外の宝石が散らばっていて、それを拾い上げられている実感があります。当院の研修は本当にありがたい環境だと感じずにはいられません。

 

 

臨床研修医通信Vol.18 「耳鼻咽喉科研修」

研修医 江原 幸康

3週間の耳鼻科研修について振り返ります。

1日の流れ

 耳鼻咽喉科は部長1人しかいませんので、入院患者さんは他科よりも少ないです。朝回診を部長と回ったあとは外来に行き、入院患者さんの処置(ガーゼ交換等)を行ないます。
 それが終わると部長と一緒に前日の当直日誌を見直します。「どんな患者さんが来たのか」、「どのように対応すべきか」、「耳鼻科に来そうな患者さんが含まれているのか」、など、ここで学んだことは、医師として非常に重要な視点になりました。

外来診察を効率的に

 9時前からは外来が始まりますが、外来が始まると、とにかく慌ただしく、時間との戦いです。部長一人で本当に数多くの患者さんの診察をしなくてはいけないわけで、効率的な診察を徹底されていました。診療外の隙間時間をフル活用され、カルテを前にして1日の中で何度も予習復習を繰り返しされていました。さらに、看護師、医師事務作業補助者とも十分にコミュニケーションをとり役割分担がされているので、時間に無駄がない外来でした。こういう外来を経験すること、自分の医師生活を見直せるコツを学べたと思います。

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▲外来診察(中央:藤澤 嘉朗耳鼻咽喉科部長 右:江原 幸康研修医)

 

忙しい中にも、外来研修での充実感!

 忙しい外来診察の中でも部長から耳鼻の診察についてたくさん指導いただきました。最初の週は額帯鏡の調節すらできませんでしたが、部長の助言にあわせてやっているうちに、光をきちんと当てられるようになっていきました。鼓膜や鼻ポリープの所見に徐々に馴染んでいくばかりではなく、治療薬に関する話もしていただき、漢方や抗菌薬の話がとてもためになりました。外来は病棟と比較するとスピードが速いため学べることが少ない、と以前は思っていたのですが、たくさん経験することで逆に診察の仕方や病気そのものの概念を深めることが出来ました。自分一人だとやはり限界があります。それを一緒に診察させていただくことで、慣れるまでの時間がかなり圧縮されたと思います。また、外来そのものが非常に楽しく、あっという間に時間が過ぎ去っていきました。学ぶことが多かったのでその日の復習は大変でしたが、それでも外来に出た価値が十分あったと思います。

 耳鼻科は機能性が露骨に改善することを求められる診療科です。手術を本当にすべきかどうか、薬による介入をどこまで行なうべきか、部長が次から次へと判断を積み重ねて進めてらっしゃっていたのが私にはとても力強く、励みになりました。自分の医師人生に「+++」になる研修でした。

 

 

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臨床研修医通信Vol.17 「脳神経外科研修」

研修医 江原 幸康

脳外科の4週間の研修について振り返ります。

1日に何度も回診

 脳神経外科の常勤医は、2名。2名しかいないからこそ、とにかくフットワークが軽かったです。朝は一人での回診に始まり、その後上級医と再度回診、外来がないときはまた更に回診、夕方仕事が終わる前に再度回診、とフットワークが軽いが故1日に何度も回診を行ない、神経症状の変化を見逃さないよう、注意深く観察が必要でした。脳梗塞の患者さんが圧倒的に多く、そのほかに脳出血や脳腫瘍の方もいました。

脳神経外科ならではの、神経学

 まず、神経の異常所見から考えられる神経の障害部位を想像し、CTやMRIを用いて患者さんの実際の障害部位を画像上で把握します。画像上の所見で現在の運動障害などの症状が説明できるのか、説明ができない場合はどういうことが起こっているのか、治療やリハビリによってどの程度回復することが予想されるか、症状は改善傾向にあるか、等を考えていきます。私個人は学生時代に神経解剖や神経分野を一番苦手としていたため、診察でどうすべきか戸惑うことがありましたが、上級医がやっているところをとにかく真似することに力を注ぎました。MMTやGCS、神経所見の取り方も、数をこなすだけでなく上級医からフィードバックをもらうことで、苦手意識はなくなると実感しました。

▲電子カルテで画像所見を確認 (左:宮田五月脳神経外科副部長 右:江原幸康研修医)

▲電子カルテで画像所見を確認
(左:宮田五月脳神経外科副部長 右:江原幸康研修医)

 脳神経外科から神経学を学んでいくことで、神経学がとにかく興味深くなってきました。上級医の判断の速さを間近で見ることで、「何に着目して判断しているのか」、その根拠を求めると、意外と単純な考え方に基づいていることがわかりました。それを教えてもらうことができ、自分の理解が深まったと思います。

患者さんの回復を実感

 手術はさすがに手を出せるところが少なかったのが実情です。しかし、それでも慢性硬膜下血腫の方などが、手術直後から運動麻痺が劇的に改善していく経過を目の当たりにすると、自分の中では興奮を抑えられませんでした。神経学というものを初めて面白いと感じた1ヶ月でもありました。面白いと感じたものは理解も記憶も簡単にできるのが人間の不思議なところです。この1ヶ月の研修で学んだことは日常診療でとても役立つと実感しています。

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▲脳神経外科手術のようす
(左:手塚 正幸医師 中央:江原 幸康研修医 右:宮田 五月脳神経外科副部長)

 

 

 

 

 

 

 

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臨床研修医通信Vol.16 「整形外科研修」

研修医 江原 幸康

整形外科研修の6週間について振り返ります。

整形外科研修

 3ヶ月ぶりの病棟復帰です。患者数と比べると、整形外科は常勤医4人と少ないため、ほぼ毎日複数手術という状態でした。
 研修期間中は、まず一人で病棟回診を済ませ、その後、上級医と回診・包交を行いました。骨折の患者さんがとにかく多いため、例えば“頚部骨折”なのか“転子部骨折”なのか、“左右”のどちらか、というのは混乱しやすく、各筋肉に対して評価を行うため細かい診察が必要になります。回診が終わると同時に外来にでて、先生方の診察を学びました。外来も患者さんが多い為、先生方の診察がとにかく速い!骨折の評価に関してはレントゲンが終わった途端に診断がつくので、圧倒されることが多かったです。

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▲外来診察時のようす
(中央:高田尚整形外科部長 右:江原幸康研修医)

 外来がないときは手術です。とにかく感染には注意し、手の洗い方一つに関しても細かく指導されました。手術そのものは特殊なこともあり、手が出せるところはかなり限られていましたが、助手をやることで、何をどうしたいか、というのは把握できつつあります。手術の術式も大事ですが、その前提は解剖で、外科研修の時と比較すると後者の方を重視して予習することで、解剖と症候がリンクしていくのが日に日にイメージし易くなりました。

 

患者さんとのふれあい

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▲回診時のようす

 時間があるときは、とにかく患者さんのところへ顔を出すことを心がけました。前日と比べ症状が治まっている時は治療がうまく行っていることを実感でき、訴えがある場合には自分でまず考え評価し、上級医に報告・相談しアドバイスを受けます。また、患者さんのところに何度も訪室することで、患者さんがとても喜んで頂けるので、上級医が忙しいときにはなるべく病棟に足を運びました。

整形外科で学んだこととしては

など、たくさんありますが、手術を除いても一般診療で必要なことが多く、例えば膝が痛い患者さんでは水がたまってないか、など外来での診察に活用できることが多かったように感じます。整形外科医以外に役に立つ整形がらみの教材もいろいろ教えていただいたおかげで、整形外科というものがかなり身近な存在になりました。

 

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臨床研修医通信Vol.15「3ヶ月の救急・麻酔科研修について振り返ります」

研修医 江原 幸康

 3ヶ月の救急・麻酔科研修について振り返ります。 日中は麻酔科業務を行い、当直時は全科(内科、外科、小児科、産婦人科)対応をすることになりました。

手技だけで終われない

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▲挿管時のようす  (左:江原幸康研修医 右:林 堅二救急部長)

 麻酔科では、特に麻酔導入時・抜管時の対応が大変でした。麻酔管理下の患者さんに対して、モニターの判断や自分の薬剤投与などが生命状態に直結するため、「考えながら動く、答えが未完成でも動かなければならない」という意味では、非常に重責を感じました。また、挿管や脊椎麻酔、抜管、動脈ラインなどの手技だけでなく、それを取り囲む器具、麻酔器およびモニターの操作に関してもスピードが要求されるため、できることを1つでも増やしていかないと成長できない、と実感しました。 研修医が一人のため手技は回ってきますので、手技回数をこなし、うまくいかなかったところを分析・反省することで、少しずつコツを掴んでいきました。研修をする上で、とにかく“安全管理”を絶対に保証しなければなりません。指導医の先生が何に気をつけて行動しているのかにより注意をはらい、見てもわからない時や疑問点は繰り返し聞きくことで、少しでも理解を深くするように努めました。

研修が進むことで得た「先読み」の必要性

 手術の一連の流れを止めないよう、患者さんの状態把握・手技など頭の中でシミュレーションを繰り返すため最初のうちは、仕事が終わると疲れがどっと出ることが多かったです。しかし、研修期間を重ねるにつれ徐々に研修にも慣れ、度胸もつき一歩先を読んで動けるようになってきました。それが、自分でも感じられたのは当直の時でした。
 全科当直では、救急車が複数入っていることが多く、当然複数の患者さんを抱えます。はじめは一人の患者さんを担当するだけでも大変でしたが、徐々に複数の患者さんの状態を把握でき、自分でやれるところは指導医の先生にこちらから声をかけてやらせてもらえるようになっていました。以前はどちらかというと指導医の先生に合わせて動いていたのですが、それではいつまでも何も出来ない研修医のままです。いい意味で脱皮できつつあるのでは、と感じています。

医者として、人間としての成長

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▲モニターを見ながら、術中管理  (江原 幸康研修医)

 私は性格上、「問題が生じたらとことん考え解決策を出す」という思考プロセスでした。しかしこの3ヶ月では、生じ得る問題を事前に考え、実際に発生した時には余裕をもって対処できるようにしておく必要があるという考え方にシフトしつつあります。
 今までとは違う思考プロセスや行動を知ることができ、医者として、それ以上に人間として成長しました。研修で学んだことは、使わなくなってしまったら全く意味がありません。他科や自分の人生に応用することで、最終的には患者さんに最良の医療を提供できるのではないかと思います。麻酔科メインの3ヶ月で学んだものは麻酔以上のものだった、そう確信しています。

 

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臨床研修医通信Vol.14「研修医生活2年目に入って」

研修医 江原 幸康

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▲江原 幸康研修医

 初期研修の1年目があっという間に過ぎてしまいました。振り返ると、最初のうちは病院勤務そのものと科特有の業務の両方に不慣れだったため、なかなか仕事が進まないこともありました。

 しかし、1年が経過した時点で、少なくとも病院勤務には対応しつつありますし、科は違えど、業務をこなしていく根本は同じだということもわかってきました。診療で自 分がやっていいこと、やれることが増えてきて、以前には自分になかった判断力がつき 始めたことを実感しています。

 これまでも充実した研修を過ごしてきたつもりですが、後半の1年は自分の可能性を 広げ限界を乗り越えようと、今まで以上に積極的に研修を行なっていきたいと考えてい ます。これからの1年もまたよろしくお願い致します。

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Vol.13「消化器科系研修~外科④~」

研修医 江原 幸康

外科手術で学んだこと

 手術に入る回数が増えてくると、段取りもわかっていきました。とはいえ、自分がメスを使う初めての開腹には非常に緊張しました。また、胆嚢摘出の際も「総胆管から離れて、離れて」という意識を常に持ち続けました。電気メスを動かすことも、見ていることと実際にやることは大違いで、とても勉強になりました。 以下、外科研修の中で個人的に学んだことを箇条書きにします。

 

患者さんのことをまず第一に・・・

 研修しながら感じたことは、「自分はやっぱり治療をやりたい」と再認識したことです。正確で迅速な診断はもちろん大切ですが、患者さんの状態がよい方向に変わっていくのは治療が実際に行われるからです。 研修当初は「外科は職人技が多いから1年目の研修医が学べることは少ないだろう」と考えていたため、いい意味で大きく期待を裏切られました。患者さんのことをまず第一に考えるためには皆で考えて医療を行っていく、それに尽きるということを学んだ2ヶ月でした。

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Vol.12「消化器科系研修~外科③~」

研修医 江原 幸康

初診外来での診察

 個人的に非常に良かったのが、初診外来を担当させてもらったことです。外来の先生方はたくさんの患者さんを診なくてはならないため、必然的に時間がかかります。私の任務としては、患者さんの話をじっくり聴き、想像される疾患に関する症状を細かく聴き、情報を多く収集し整理すること、さらにはそれに関連する身体所見を取ってカルテをまとめ、手短に指導医に報告することでした。 私がカルテ記入や報告をすることで、指導医にフィードバックをもらい、それを次に活かすことができます。私は他の医師(上級医)とは異なり、「忙しい外来であっても、時間をかけていい」と言われていましたので、非常にありがたかったです。そして疾患の理解を深める意味では、初診外来の診察は本当に勉強になりました。勉強になるばかりではなく、指導医の時間的負担を少しでも削減することになり、まさしくチームプレイで患者さんを助けることにつながったと感じています。

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▲外来のようす(江原幸康研修医)

外科「系」医としての当直

  また、他に良かったことは当直です。当院の外科「系」当直では、整形外科、脳外科、耳鼻科が含まれます。当直の時には交通外傷やその他の怪我の方が多く、例えば縫合処置が必要な際は、指導医監督のもと私がマットレス縫合などを行います。外科系の当直を行うまで知らなかった、救急外来ならではの「小外科(しょうげか)」を当直で学ばせてもらいました。

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Vol.11「消化器科系研修~外科②~」

研修医 江原 幸康

研修医の重役出勤!?

 朝のカンファレンスは原則・月曜日と木曜日の週に2回。朝のカンファレンスがない日は、毎日8時15分から病棟回診が始まります。朝の手術だと9時入室で10時前くらいに執刀開始ですが、朝回診の終了は9時を過ぎてしまうことが多いため、担当医は回診が終わらなくてもそのまま手術室へ直行します。通常、患者さんを手術室に連れて行くことやその他の雑用は(おそらく大学病院では)研修医の仕事なのかもしれません。

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 しかし、指導医からは、病棟業務が疎かにならないよう、外科業務に関係のないことは尽くカットされていました。つまり、朝回診が終わって病棟業務を十分こなせるよう、執刀開始ギリギリまで病棟に残らせてもらい、カルテ書きや可能な限りオーダーを済ませ、そして執刀と同時くらいに手洗いして手術に参加できるように配慮してくださっていました。手術する患者さんに麻酔がかかり終わる頃、遅れて自分が参加するため、麻酔科の先生には「”大先生”の重役出勤」とからかわれていました(笑)。

新しい経験の連続、選び迷っていたら参加できなくなる

 また、手術に限らずERCPや注腸造影などのイベントが複数並行しており、どれに参加してもいい、という風に言われてもいました。両方参加する、ということが出来ないのが残念ではありますが、無駄な空き時間を過ごすことにはならず、毎日新しいものを経験し続けていきました。

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▲腹腔鏡手術のようす
中央:俵藤 正信手術部長 右端:江原 幸康研修医

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Vol.10「消化器科系研修~外科①~」

※消化器科研修(H25.10~12月)の外科での研修を4回にわたり連載します。

研修医 江原幸康

外科チームの一員として

 外科チームの一員として 2ヶ月の外科研修が終わりました。最初の1週間は本当に大変でした。外科は全員のドクターで全患者さんを担当する、まさしくチームプレイです。40人以上の入院患者さん一人ひとりが、どのような疾患で、現在どのような状態であるか、を把握することが大変でした。全員で朝・夕方と1日2回の回診を行い、徐々に患者さんの状態というものがわかってきました。病状が把握できてない患者さんがいる場合は、すぐに先生に質問して、自分が足りていないところを補強しながら理解を深めていきました。

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▲外科カンファレンス 外科医全員が集まり、症例検討を行います (右端:江原幸康研修医)

具体的で詳細なイメージを持つこと

 今までの内科研修では、必死にメモを書き留めていました。しかし外科研修初日に、指導医の先生から「メモに頼らず、患者さんを見て、イメージをそのまま頭に植えつけなさい。ドレーンがどこに入っているか、CT画像と患者さん、そして表情と体の状態がどのような関係になっているのか、を考えながら患者さんと会い、イメージをハッキリと持ちなさい」と言われました。
 最初は正直「そんな無茶な」と思っていましたが、「今は頭に叩き込む訓練だ」と思い、ノートを持ち歩かずに業務をこなしております。  先生方からは最初から全てを要求されることは決してありません。細かいことよりも大枠で重要な事や、雰囲気を学ぶことを重視されている気がしました。
 朝の回診を終えて一気にカルテ書きを始めますが、最初の2,3日は何も書くことができませんでした。40名近くの患者さんを一気に回診すると、最初のうちは患者さんの区別がつかず、記憶があいまいになってしまうからです。 日を追うにつれて、“指導医の先生方が何に注目しているのか”が少しずつわかり始めたと実感しています。

効率的な外科研修

 外科を2ヶ月しか回らないことは、一般には不十分だと考えられています。その現状がある上で、当院の研修では指導医が無駄のない効率的な研修を配慮してくださっているので、研修医が仕事をやりやすくなっています。2か月という有限の期間で純粋に外科的手技や診察、検査を経験できることが無駄のない効率的な研修であると考えられます。

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Vol.9「新たな研修クールへ」              H25.12.9

研修医 江原 幸康
※H25.10~12月の研修科・・・消化器内科、消化器外科、外科、泌尿器科

消化器内科研修

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▲臨床検査課長からエコーの使い方を習いました。(左:江原幸康研修医 右:葛西臨床検査課長)

 10-12月の消化器科研修の最初の1ヶ月「消化器内科」が終了しました。消化器内科は常勤医4名と、他科に比べマンパワーに余裕のある診療科という印象で研修をスタートしました。しかしその考えは誤りで、時間的に余裕が少ない科でありました。
 消化器内科の現状として ①患者さんの数が多い、 ②腹部エコーや内視鏡検査、特に下部消化管内視鏡は時間がとてもかかる③内視鏡による観察だけではなく、生検などの処置が入るとドクターが複数必要であるなどが挙げられます。受け持ち患者さんの数はそれなりに多いのに、夕方過ぎまで内視鏡検査が入り、その合間に病棟業務や救急当番をこなさなければなりません。また、外来担当日には検査要員がそれだけ減少します。消化器内科は、とても忙しい科です。

腹部エコーの習得を目指して

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▲腹部エコーの練習

 消化器研修に対する私の目標は、第一に腹部エコーの習得です。これができれば将来、心エコーにも再度挑戦できると考えているからです。検査の合間に腹部エコーを触っていました。最初は本を読んでもよく分からず、また先生方の説明を聴くだけではなかなかうまく行えませんでした。それでも自分の手でプローブを動かす回数をこなしていくことで、少しずつ感覚がわかりつつあります。外科を回っている残り2ヶ月の間でしっかりと習得したいと考えています。

内視鏡の操作は難しい

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▲検査の合間をぬって、内視鏡操作を教えてもらいます。(左:江原幸康研修医 右:篠﨑 聡消化器科副部長)

 「内視鏡は見た目以上に操作が難しい」ということがよくわかりました。下部消化管内視鏡はカメラを進めていく操作自体が、また上部消化管内視鏡は操作よりも観察・考察が難しいとのことです。検査の合間にカメラを触って操作方法の説明を受けたり、また検査中にはモニター上での観察方法について教えてもらったり、と一応の流れは経験出来ました。

医療現場でのチームワークを意識して

 消化器の検査はERCPなども含めて、チームワークがとても重要です。その場その場にふさわしい役割分担が毎回求められます。研修医としては操作自体の能力がなくても、チームの一員として何ができるか、それを考えながら研修を行っていくことも、医者としては大事な素質だと考えます。内視鏡に関しては、上部消化管の操作を残り2ヶ月外科を回っているうちに、少しでもうまくなりたいと思ってます。

 

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Vol.8「インフルエンザ予防接種」              H25.11.28

研修医 江原 幸康

インフルエンザ流行を迎える前に

 気温が急に下がり、インフルエンザが流行を迎える季節の直前になりました。臨床研修の到達目標の一つに「ワクチン接種ができるようになること」も挙げられています。当院では全職員対象に病院負担でインフルエンザワクチン接種を行います。今回のワクチン接種は研修医である私が行うことになりました。

職員を対象に予防接種

 まず皮下注射の仕方を習いましたが、ワクチン接種初日の最初のうちは、ややぎこちない状態でした。ドクターもワクチン接種にやってくるため、場合によっては指導が入り、適宜修正を行います。「接種部位は、もう少し頭側がいいですよ」「もう少しシリンジの中央を持った方がいい」など、普段は話す機会の少ない科のドクターからもきちんと教えて頂けるのは、ありがたい環境です。

基本に忠実に手技を習得

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▲インフルエンザ予防接種初日の様子。「最初は緊張しました」。

 アドバイスを受けたおかげで、また1日1時間×1週間で500人以上、繰り返し皮下注射を行えたことで、最終的にはかなり自信を持って接種が行えるようになったのは事実です。最終日に予防接種を受けに来られた上級医には、「もう既に私の皮下注射の接種数よりも断然多いですよ」と言われてしまうくらいでした。職員からも「痛くなかった。先生ありがとう」と言ってもらえて、こちらとしても非常に嬉しい気持ちになりました。

 基本に忠実に、繰り返し数をこなし、うまくいかなかった時には適宜修正することで、自分なりのフレームが出来上がっていくものだと実感した1週間でした。

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Vol.7「第49回日本赤十字社医学会総会」に出席   H25.11.18

研修医 江原 幸康

初めて出席する日本赤十字社医学会総会

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▲第49回日本赤十字社医学会総会に出席。
(左:江原幸康研修医 右:臨床研修医担当 笠井主事)

 消化器科研修が始まった10月は出張が複数あり、病院を抜け出しての研修を楽しみました。そのうちの1回は和歌山で開催された「第49回日本赤十字社医学会総会」でした。学会とは言っても医師、看護師からの発表ばかりではなく、事務職なども含めた日赤全職種のブースがある形で、自分が知らないこと、聞かなかったら発想もしないような興味深い発表が多々ありました。

来年の学会参加に向けてモチベーションUP

 研修医部門もあり、そこの症例発表は非常に参考になりました。来年熊本で開催予定の「第50回日本赤十字社医学会総会」に、私も発表をすることになっています。1年後には胸を張って、自信を持ってプレゼンできるよう、これからも精進していくつもりです。わずか1日半という短い時間の出張でしたが、当院は研修医には積極的に学会やセミナーへの出席を促されるため、毎回勉強になるばかりではなく、自ずとモチベーションが上がらざるを得ません。

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Vol.6 内科研修終了                       (H25.11.8)

研修医 江原 幸康

 内科研修の締めくくり、9月の総合内科的な研修について振り返ってみたいと思います。

多様な症候への対応・・・

 半年に渡る内科研修もとうとう最終月、総合内科での研修です。「迅速な診断の能力を身に付けること」は患者さんにとって幸せにつながると考えています。しかし、速さだけを求めると誤診につながってしまう危険性があります。症候は典型的なものばかりではありません。そのため、専門的な知識が必要な症候に遭遇した時は、専門医にコンサルトすることが非常に大事だと気付かされた1ヶ月間でした。

診断の難しさを実感した1か月

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▲内科・指導医から、電子カルテをもとにオーダーについて指導を受けています。 (左:染谷勉第一内科副部長 右:江原幸康研修医)

 この半年間で循環器、呼吸器、腎臓、内分泌と、研修を行ってきましたが、この1ヶ月はどこにも分類ができない疾患をお持ちの患者さんが多く、更には、どちらかというと、典型的な治療法を適用できない場合が多かったです。患者さんに合わせて最良の治療法をその場その場で考える必要性に迫られ、苦しい決断になることもありました。

 医学は頻度という統計の概念が重要ではありますが、それだけでは診断や治療の対象から漏れてしまう危険性があります。個別対応は大変ではありますが、患者さん「個人」の治療という点から考えると、患者さんそれぞれの境遇や病態を深く考察することで、結果患者さんの幸せにつながると考えます。研究心をもって臨床に励み、忍耐強く取り組んでいかなければならない、という基本をあらためて感じた1ヶ月でもありました。

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Vol.5 へき地巡回診療                     (H25.10.1)

研修医 江原 幸康

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▲町の公民館での診察(栃木県茂木町深沢地区)使える診察道具は、聴診器のみ。

 9月の研修は一般内科、あるいは総合内科、といいますか、6ヶ月の内科研修の「総まとめ」にあたります。その研修の中、本日は病院を離れ、へき地(※1)巡回診療に行って参りました。

 当院は栃木県東部で「唯一」の中核病院そして、へき地医療拠点病院です。地理的には1市4町という広範囲の医療圏をカバーしています。へき地いわゆる無医地区に住み、自動車などの移動手段を持つことが困難な高齢者は、当院へ通院することすら不可能な状態にあります。そこで、当院は定期的にへき地巡回診療を行なっています。

 1台の車に、医師、看護師、事務の方が乗り込み、病院を出発して走ること1時間弱。途中くねくねとした山道を進み、山々に囲まれた栃木県東部に位置する茂木(もてぎ)町の深沢公民館に到着しました。そこでは既に何人かの患者さんが我々をお待ちしていらっしゃいました。「最近の調子はどうですか」、「薬は飲めていますか」など上級医が問診しながら診察、その内容を紙カルテに記入、そして薬を渡す、という繰り返しでした。紙カルテというのも、自分が働き始めて初めて経験いたしました。

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▲へき地巡回診療-診察後のひとコマ-
第一内科 内藤 裕史医師(左)
江原 幸康研修医(右)

 へき地診療に準備していく通常の体制だと、町の公民館での診察に使える道具は聴診器しかなく、血液検査すら出来ない状態です。まさに「診察」というのをありありと経験することができました。医療機関がない地域で、入院患者を如何に減らせるか、予防医療の大切さを実感できた1日でした。

※1へき地(無医地区):おおむね半径4キロの区域内50人以上が居住している地区で、かつ容易に医療機関を利用することができない地区をいう。

 

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Vol.4 内分泌代謝分野[第二内科]                       (H25.9.2)

研修医 江原 幸康

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▲糖尿病指導
患者さんと一緒に簡易血糖測定器の使用法について指導を受けました。

 内分泌代謝分野の研修も残り1週間。内分泌代謝のcommon diseaseといえばやはり糖尿病。しかしその治療については学生時代から苦手に感じていました。理由は薬の分類が様々であるから。苦手意識克服のため、研修初日に経口血糖降下薬の分類と代表的な薬、次の日にはインスリン製剤の名前を覚えていきました。自分なりに工夫して取り組んでみると、不思議と親しみが湧いてきました。まずは薬剤名に慣れてしまうことが、病態生理を知ることと同じくらいに重要、と個人的には考えております。

 糖尿病の薬物療法は食事療法や運動療法が大前提で、患者さんご自身が病気に対して正しく理解されていることが必須です。また、低血糖症状出現時はその対処方法など、患者さんだけではなくご家族までもが糖尿病に対して十分に学んでおく必要があります。「血糖コントロール」とは簡単な言葉ではありますが、その反面、方法は多種多様であり、非常に責任感が必要とされる、重みのある言葉だと私は考えています。

 患者さんやその家族に負担が一番少ないコントロール方法というのは、患者さん一人ひとりの生活環境や病状などの違いによって全く異なるものです。高齢の患者さんだと病気や血糖コントロールの必要性を理解することが難しかったりして単純にはいかず、教科書だけでは現実は決してわかり得ず、実臨床の場でないとベストなコントロール方法を見いだすことができないと思います。糖尿病の治療は、患者さん、医療従事者ともに根気が必要ですが、血糖値が安定してコントロールがよくなるのは本当に気持ちがいいものです。

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▲糖尿病指導
佐藤健太郎副院長とのひとコマ

 また、指導医の先生方は今まで私が経験してこなかったことをどんどんやらせてくださっております。8月は週単位ではなく、日の単位で成長できたと自分でも実感しております。未知のものに遭遇した時ほど学習効率が高まる、そのように実感しております。

 

 

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Vol.3 夏休み明けの当直                    (H25.8.17)

研修医 江原 幸康

 今週は夏休み復帰明け第一弾の当直がありました。救急車がいつものように流れてくるので、休みボケしているわけにはいきません。そんな中、日付が変わる頃、転倒後意識レベルが低下している患者さんが運ばれてきました。転倒そのものの内科的な原因を考えながらも頭部CTをオーダー。すると外傷性の硬膜下出血を認め、緊急性が非常に高い状態でした。上級医の先生がオンコールの脳神経外科医に連絡、10分後には先生が病院到着、すぐさま診察が始まりました。「明日朝では危ない。今から手術をする」と判断され、内科当直をしている私の身としては、“治療を他科に引き継いだので一件落着”と思っていました。

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▲脳神経外科医師とCT画像を確認
左)宮田脳神経外科医長 中央)江原研修医 右)黒田脳神経外科医師

 そこで突然、脳神経外科の先生から「オペを見学してみないか」とのお誘いがあり、そのまま脳外科研修へ。普段見られない脳神経外科の手術を真近で見ることができ、しかも先生方の鮮やかな手つきに見とれ、あっという間に時間が経過してしまいました。夜中の3時半に終了、心配されているご家族に病状説明、先生方は疲れも見せずに説明を行われているのも非常に印象的で、来年の脳神経外科研修が非常に待ち遠しく感じました。翌日、患者さんの意識状態も急速に回復して、患者さんを救えたのだ、と嬉しさを隠せませんでした。

 当院での研修では、今回の私みたいに、研修医が効率よく学習できるように、他の科での研修も「突然」入ってきます。先生方は研修医が学びやすいように、勉強となる手技や症例は積極的に研修医に譲って下さいます。初期研修が2年という期限がある中で、学習効率は非常に重要なものと考えます。

 

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Vol.2 透析センターで研修中 [ 研修科:第三内科 ]             (H25.7.26)

研修医 江原 幸康

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▲森下第三内科部長に電子カルテで入院患者さんの報告

 7月は第三内科ローテで、残すところ1週間。第三内科は主に腎不全などの腎疾患を扱っています。他の内科研修と違い現在の主な研修は、病棟患者さんの把握だけではなく、透析センターでの透析維持管理も加わります。
 透析センターでの研修は、第三内科部長に病棟ラウンドの結果報告をすることから始まります。その間も、他のスタッフは透析開始時の対応に追われていてとても忙しく、ひたすら動きっぱなしです。動脈穿刺やカテつなぎはドクターの仕事なので、途中途中ディスカッションが中断します。透析患者さんの血管はとてもデリケートなため、恐る恐る動脈穿刺を行います。気が抜けません。ドクターとしては電解質や生化データを気にし、透析中の患者さんのバイタル、特に開始時の血圧降下、などに注意を払います。透析センターで実際に透析の様子を見ることで、透析というものが本当に身近になりました。

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▲透析センターでの朝イチの仕事の1つ、「動脈穿刺」。

 当院は、腎不全などにより維持透析をしている患者さんの数も相当多いため、勉強の意欲が湧きます(正直、学生の時は腎臓に苦手感がありました)。そして透析センターのラウンド中に、患者さんの方から声をかけてもらったりすると、こちらとしても気が休まります。維持透析をしている患者さんは透析に関して経験も知識も豊富なので、研修医としては、さらなる知識・技術向上を目指そうという思いが強くなる今日この頃です。

 

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Vol.1  ごあいさつ            (H25.6.26)

研修医 江原 幸康

re-Dr. 今年度から当院で臨床研修をさせていただいております江原 幸康(えはら ゆきやす)と申します。
 現在は新しい環境ではありますが、日々自分の成長を何かしらの形で実感でき、やりがいにつながり、それが大きなエネルギー源にもなっています。この2年間は様々な部門で研修を行うため、多くの患者さんとお会いすることになるかと思います。質的に十分な診療が行えるよう日々学習していき、少しでも早く皆様に満足していただけるよう成長していく所存ですので、どうぞよろしくお願い致します。